コ ラ ム
2023年5月25日
「先回り」していませんか?
子育て中ということもあり、最近は親子が遊んでいる空間に行くことがよくあります。
そんな中で以前、こんな光景を目にしました。
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(5歳くらいの女の子が親子で保育施設で遊んでいる)
女の子 :(高いところにある道具を取りたい様子)
お父さん:(近くで見ている)
女の子 :(何かを思いついて、近くにあるクッションを持ってきてその上に乗ろうとする)
お父さん:「この上の物がとりたいの? 大丈夫。大丈夫。危ないからお父さんがとってあげる。」
女の子 :(取りたかったものが取れて喜んでいる様子。)
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この光景を私は、「惜しいなぁ」と思いながら見ていました。
せっかくお父さんが近くにいるのだから、足元を支えてあげたりすれば、子供が危ないことにも挑戦できるいい機会だったはずです。
この場合、お父さんが助けてしまったことで、
高いところではどんな危険があるか学ぶ機会
自分で工夫してうまくいった成功体験
知恵を出すことの楽しさ
などのかけがえのない子供の体験を奪ってしまったことになります。
また親子が一緒にいる場所に行くと、以下のような場面もよく目にします。
どちらを買うか悩んでいる子供に対して、
「あなたにはこっちがいいと思うから、こっちにしとこう」
と親が主導してしまっている場面。
他には、
悩んだり、迷い始めた子供に対して、
「こう。こう。こう。こうするのよ」(親が手本を示しながら)
と子供に考えたり悩んだりする時間を全く与えていない場面。
以上のようなかかわり方は、今回のタイトルにもある
「先回り」
にすべてあたるものであると考えています。
「先回り」とは、ここでは子供が求めてもいないのに子供の欲求を先回りして助けてしまうことを指します。
「先回り」をすると子供の以下の能力の伸長を妨げる可能性があります。
自ら考える主体性
自分で考えて決定する決断力
やった結果に対する反省力
悩んだりする時間に対する忍耐力
ここまで読まれると、
「そんなこと言っても、子供が悩んでいるのはかわいそうだ。助けてあげたいが親の情」
「時間がないときは子供にかまっていられない」
「放っておくと愛情不足の問題が出るかもしれない」
などお思いの方もいるかもしれません。
確かに、時間がないときなどはいつも子供の選択を待つことはできないかもしれません。
100%できないのは仕方ないことだとも思っています。
ただ「愛情」と「先回り」は別物です。
子育てでいう「愛情」の最終目的はある意味、子供の心に「安全基地」をつくってあげることです。
この「安全基地」は、以前のコラムでも書きましたが、簡単に言うと、
「自分はいつでも受け入れてもらえる」という心からの実感です。
つまり、“望んだときに”受け入れてもらえる、ということです。
一方で、「先回り」は子供が“求めてもいない”のに助けてしまうことです。
コロラド州立大学のアタッチメント研究者Bretherton博士は
「先回りはダメ。子供が欲求を感じ、シグナルを出して初めて、敏感に反応することが大事」
と先回りについて戒めています。(Bretherton, I., 1989)
無意識でいると、ついついやってしまいそうになる「先回り」
皆様はいかがでしょうか?
Bretherton, I., Biringen, Z., Ridgeway, D., Maslin, C., & Sherman, M. (1989). Attachment: The parental perspective. Infant Mental Health Journal, 10(3), 203–221.
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